研究概要

RESEARCH

テレケリック会合高分子のシア・シックニングの分子機構

水溶性高分子の両末端を疎水基で修飾したテレケリック会合高分子は,疎水会合による架橋点が有限時間で組み替えることが可能なネットワークを形成することにより系のレオロジー挙動を劇的に変化させるので,古くから,粘性調節剤や増粘剤として塗料,インク,医薬品,化粧品などの幅広い分野で用いられてきました.我々は,このような会合高分子の示す最も特徴的な粘弾性的性質であるシア・シックニング現象を分子動力学(MD)シミュレーションにより初めて再現することに成功し,その分子論的機構を明らかにしました.

図1
図1:(a) MDシミュレーションにより得られた非線形定常粘性率η.粘性率ηが剪断速度と共に増加するシア・シックニング現象を示している.(b) MDシミュレーションにより得られたシア・バンディングを示すスナップショット.