研究概要

RESEARCH

感熱性会合高分子の階層構造形成とレオロジー

Poly(N-isopropylacrylamide: PNIPAM)は,31℃付近でコイル・グロビュール転移を示す感熱性高分子として知られており,幅広い分野で用いられています.我々は,PNIPAMの両端を疎水基で修飾したテレケリックPNIPAM(tel-PNIPAM) 水溶液の中性子散乱測定結果の理論構造解析を行い,昇温とともにPNIPAMの脱水和に起因する凝集が進行し,階層的に会合構造が形成することを明らかにしました.更に,この構造変化に伴う劇的なレオロジー挙動の変化を,我々が独自に発展させてきた「組み替え網目理論」をPNIPAMの強い感熱性を取り入れて拡張することにより,理論的に説明することに成功しました.

図2
図2:(a) 中性子小角散乱実験の理論解析から得られたtel-PNIPAMの階層的会合構造.(b) tel-PNIPAM水溶液の動的粘弾性測定結果の温度依存性.記号は実験結果,実線は拡張された組み替え網目理論の結果を示している.