研究概要

RESEARCH

メチル化ポリロタキサン水溶液の熱誘起ゲル化の熱・統計力学的理論研究

環状分子を線状高分子が貫いた包接錯体はポリロタキサンと呼ばれ,環状分子は高分子鎖に沿って移動,回転することができ,この環動性を活かした新規機能性材料の開発が盛んに行われています.環状分子のメチル化により水に可溶なポリロタキサンが合成され,この水溶液は温度上昇によりゲル化を示すことが報告されました.本研究室では,この熱誘起ゲル化について,環状分子の水和・脱水和とその環動性による高分子鎖上での凝集体形成,及び架橋点形成を考慮した熱・統計力学理論を構築し,微視的な架橋構造と相図などの巨視的物性の関係を分子論的に理解することを目指しています.

図5
図5:水中におけるメチル化ポリロタキサンの熱可逆ゾル・ゲル転移の理論計算と実験データ(T. Kataoka, M. Kidowaki, C. Zhao, H. Minamikawa, T. Shimizu, and K. Ito, J. Phys. Chem. B, 2006, 110, 24377-24383)の比較.(H. Kojima and T. Koga, Macromolecules, 2016, 49, 7015-7024)