古谷助教のページ

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会合性高分子/界面活性剤混合系における構造形成と物理的性質

水溶性高分子を部分的に疎水基で修飾した高分子は会合性高分子と呼ばれ、多様なミセル構造やネットワーク構造を形成することが知られています。また、会合性高分子水溶液に界面活性剤を添加することで、その相挙動やレオロジー的性質が大きく変化することが報告されています。このような会合性高分子/界面活性剤混合系の物性と構造形成について理解するため、統計力学理論及びシミュレーションを用いて研究を行っています。これまでの研究により、ミセル中の界面活性剤の割合の変化による相挙動の変化やミセルの高次構造変化と会合性高分子の会合形態変化によるシアシニング現象の発現等を明らかにしました。

図1
図1:せん断流下における会合性高分子/界面活性剤混合溶液の定常せん断粘度と凝集体構造。ひも状ミセルの配向と会合性高分子の会合形態変化によって2つのシアシニング領域を示す。(T. Furuya and T. Koga, J. Polym. Sci. B, 2018, 56, 1251-1264)

高分子ゲルのネットワーク構造と力学的性質

高分子ゲルは三次元的に架橋された高分子ネットワークが多量の溶媒を保持した材料であり、固体と液体の中間的な性質を示すことから広い応用範囲で使用されています。また、高分子ゲルの応用範囲をさらに広げるためにナノコンポジットゲル等の高強度ゲルの研究開発が精力的に行われています。本研究室では、高分子ゲルの高強度化機構の詳細な理解を目指して、統計力学理論及びシミュレーションを用いて研究を行っています。これまでの研究により、高分子のナノ粒子への吸着による架橋構造形成と大変形下での高分子のナノ粒子からの脱離を伴う架橋構造の再構築によってナノコンポジットゲルの高強度化が発現していることを明らかにしました。

図2
図2:ナノコンポジットネットワークの伸長-応力曲線とネットワーク構造。伸長によって円盤状粒子の配向及びネットワーク構造の再構築が行われる。(T. Furuya and T. Koga, Soft Matter, 2018, 14, 8293-8305)